文房 夢類
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日馬富士の優勝

何日も経ってしまったけれど、名古屋場所で日馬富士が優勝した。お目出度う、日馬富士関。変化をする、注文相撲をする、それで星をとる人、という印象を持っていた。横綱になるときは、本当に高いハードルを越えて綱を手にした。以後、全部を見ているわけではないけれど、まことに気持ちの良い正々堂々とした姿を見せている。普段は大学に籍を置いて勉強しているとも聞く。
モンゴル出身の力士たちの表情や佇まいを、もちろんTV画面だけしか見ていないけれど、日本画や、時代小説の挿絵にある武士そっくりだ、と感じる。日本人俳優が演ずる時代劇の人物は、現代っ子には見えるが、日本画家の描く侍とは似ても似つかぬ。和服の生地が、立ち居振る舞いに重すぎるからと軽く薄い繊維をつかい、動きは派手にできるらしいが、いくら力んだ表情を見せても張り子のトラ、見る根気がでない。
土俵に上がった白鵬の目つき、姿勢を見ると、これこそ日本古来の武士ではないかとさえ思われる。最近の場所の日馬富士は、その表情が、貴乃花に似ていてハッとする。ここ一番、時間いっぱいのときの姿は「悲」を含み、阿修羅像を見る思いだ。これが貴乃花と重なる。すくみあがる勝負の気迫が漲る。
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