文房 夢類
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福島、富岡町の桜

花見時が北上してゆく季節。福島県富岡町の桜並木は2キロ余りも続く見事な眺めだ。それを今朝のテレビで眺めた。
高線量のために立ち入り禁止地域に指定されている地域内の、桜のトンネルと呼ばれる美しい並木。
避難先の人々のために花見見物のバスが用意されて、バスの窓越しの花見をしてきた人たちが映った。8年ぶりだ、綺麗だったと笑顔を見せる。
解説する報道者の言葉。「本格的な除染が今、始まったばかりです」
待ってくれ、除染するって、この土地に人を住まわせるつもりか? 2023年に除染終了? 

見ず清し、という。目の前に汚物があっても横を向いていれば見えない。見なければ汚いと感じずに済むのだという。
三尺流れれば水、清し、ともいう。川の流れに汚物を捨てても流れ去るからきれいな水だという。
汚物が目に見えて、手で触れることができてさえも、この始末だ。放射能は見えない、臭わない、その存在を確かめる術が人には備わっていない代物である。
忘れるために便利な言い回しもたくさんある。人の噂も75日。
10年後の福一は、十年一昔か。大過去の昔語りとして忘れ去るつもりか?
痛くも痒くもないのだから、忘れてしまえば気持ちも楽になれるかもしれない。
高線量のために窓も開けられないバスを仕立てて故郷の人を乗せるという企画を立て、取材放映の段取りをつけたのは誰だろう?

桜樹の寿命は長くはない。50年もすると老樹となる。桜の名所は、名所の名を守るために、注意深く交代を図り存続させるのだ。
米どころの福島、果実豊かな福島、そして何より、何という心温かな人達だろう、福島は。
良き福島を汚したのは、福島を故郷とする人たちとは関係のない人々だ。
関係のない人々が汚しておいて、自分たちは近寄らず、この先なかった事にしようとしている。
福島富岡町の美しい桜のために愛と祈りを。
「福島へ帰るな運動」に賛同してほしい。守りたい、救いたい、故郷の命を。
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