文房 夢類
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富士、消える

豪雨のあとの荒れた庭に出ていた今朝、いきなり猛烈なネコ喧嘩の叫び声。お勝手にいたはずの富士が、お勝手の窓から落ちてマルオが組み付いていた。とっさに蹴って、つまり上にのしかかっているマルオを蹴飛ばした。あっというまに2匹は離れたが、富士は道路へ消えた。網戸は大きく開け放たれて、それは富士にはできない仕事だ。探し呼びながら、家のまわりを歩き回った。車の下を,膝をついて覗く。各家庭に駐車しているから、まるで五体投地をやっている感じだ。気配もない。いない。これは長期戦になるなあ、と覚悟。人の目に触れないが、ネコ世間は狭いのだ。野良猫・外猫・家猫によって、テリトリーは決まっている。どこにでもいられるというわけにはいかないのがネコ社会だ。追われたら遠くへ逃げてゆくしか道はない。えらいことになってしまった。おまけに我が家のまわりには,ネコ嫌いの残酷な住人がいることも、わかっているのだ。親しいネコ先輩にメールで助けを求めた。マタタビを置け、という。ネコトイレの砂を外にまけ、という。太重斎がプレゼントしてくれたマタタビを庭と玄関に置く。ネコ先輩から、マタタビを燃やして煙を立てろ、と指示がはいる。まずは水を飲んで水分補給し、気を静めてスニーカーを履き、捜索に出発。いなくなってから1時間は経ってしまった。ドアを開けたら,黒い背中が足下に。富士。下を向いたまま,ゆっくりと入ってきた。私を見上げる、ことはない。そばにあるマタタビも通過。てんてこまいしたのは私で、わけのわからないことを喋り散らしながら右往左往、ごはん、を並べてやる。ネコ缶、ドライフード、ミルク。ハムネコでも,豚ネコでも,文句ない。たくさん並べてやる。富士はモクモクと完食。この大騒ぎで、丸一日、疲れてぐったりしてしまった。
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