文房 夢類
文房 夢類
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太陽の力

半導体の大工場跡を利用して、清浄野菜生産工場をつくった。風雨関係なし、どころか太陽も要らない、土も使わないという。安定して日に1万株のレタスを生産する。スーパーの野菜は、店頭に並ぶ食べ頃から逆算して収穫するから、見栄えのする野菜が並ぶ。これが当たり前の世の中になった。昨日、遠くの知人が家庭菜園の野菜を送ってくれた。トマト、キュウリ、トウモロコシ。小松菜にほうれん草。菜を茹でて驚いた。茹でこぼしの湯が、褐色に近い濃い色合いだった。突然、タイムスリップして子どもに戻った。お母さんが茹でてくれたほうれん草なのだ、これは。土埃を浴びて雨に洗われ、お日様の光をタップリと浴びたほうれん草だ。灰汁が強い。なによりほうれん草の味だった。懐かしい。我に返って不安になった。お勝手に持ち込む野菜から土が消え、いま太陽が消えようとしている。これでいいのだろうか。
『エデンの恐竜』カール・セーガン著を読んでいる。人類は、身体が進化、発達を遂げてのちに、道具を作り始め、文化が発達していったのではない。ある道具が発達する、すると、それに合うように身体も変化する。これを繰り返して来た、と言う説が披露されていた。つまり、環境の影響を受けて、脳を含む全身体は変化するのだ、という考えである。これは怖いことになった。
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