文房 夢類
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馬齢を重ね、犬死にする

私は、その日その日をただ、生きていたいとのみ念じつつ来たような気がする。いたずらに馬齢を重ね犬死にすると、この生き方を馬と犬に喩えては、あの聡明なまなざしの馬たち、熱い心の犬たちに申し訳がない。私、別名無額齋は、無額の人として八十年を越える年月を、今日の今も刻み続ける。
無額齋よりもあとに生まれて先に死んでしまう人たちを思う。なんという大いなる稔りを遺して逝ったことか、時の長さと人の重さは関係がない。
膵臓癌で九重親方が亡くなられた。無額齋が生まれてから20年後に、北海道松前に生を受けた少年は、相撲界に不朽の名を刻む大横綱となった。あの朝青龍が、自分にとって神様、と言い悲しみ、白鵬は千代の富士の相撲を目指し勉強したと語る。近くにいた人のみならず、場所、時を隔てた多くの人に及ぼすエネルギーは、この先も増すことはあっても決して衰えはしないだろう。世界中の各界にいる、このような永遠の人のお陰で人類は先へ進む。
同じ日に東京都知事選の結果が出たがニュース性もなく、発端も経過も結果も、あらゆる点において目を閉じ、耳を塞ぎたくなる姿だった。
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