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Nov 2020

読書評終了

2020年11月感謝祭の日をもって夢類日記・壺猫ブログ及び読書評を終了いたします。詳細は夢類日記をご覧ください。ありがとうございました。

海岸と人間の歴史

『海岸と人間の歴史』THE LAST BEACH 副題=生態系・護岸・感染症 著者=オーリン・H・ピルキー Orrin h Pilkey&J・アンドリュー・G・クーパー J.Andrew.G.Cooper 訳=須田有輔 発行=築地書館2020年 187x128 P270 用語解説 索引 参考文献 ¥2900 Isbn9784806716020
著者=オーリン・H・ピルキー 1934年生まれ。ニューヨークタイムズ紙はピルキー氏を「アメリカ第一の浜の哲学者」と表現している。デューク大学名誉教授 『地球規模の気候変動』ほか著書多数。子供向けの啓発書にも力を注いでいる。
    アンドリュー・G・クーパー イギリスのアルスター大学地理学・環境科学部教授。『世界の浜』などピルキーとの共著がある。世界各地の浜研究者。海岸線への人の手の不介入を主張していることで知られる。
訳者=須田有輔 1957年神奈川県生まれ。東海大学海洋学部卒後、東京水産大学院、東京大学大学院、民間企業をへて現在国立研究開発法人水産研究・教育機構水産大学校校長・同生物生産学科教授。
著書、訳書『砂浜海岸の生態学』『砂浜海岸の自然と保全』など。
内容=自然の浜は、生きていて動く。どのように動くのか。砂はどこから来るのか? 浜の命とは。ここから始まり、現在の世界中の浜を見渡し、その現状を述べ、未来を展望する。砂の採掘問題、砂上の硬い構造物について。これは護岸、養浜も含んでおり、これらによって浜は瀕死状態であると説く。さらに漂着ごみ問題、油汚染問題、車両の浜走行問題など、憂慮するものが山ほど取り上げられている。最終章の第10章のタイトルは「終わりが来た」と悲観的だが、未来へのスケジュール、適切なやり方がある、浜に対する新しい見方、という小見出しの下に、我々が浜を見る気持ちから洗い直し、新しい姿勢で我々の地球のためにどう動くのが良いかを考え、提案している。モノクロの写真多数。
感想=伝えたいことが山ほどあるんだ、みんな、聞いてくれ。という気持ちが溢れている本。写真はモノクロだが情報満載、キャプションに強い説明力がある。映像が手渡してくれるものを納得しながら受け取った。訳者がいわば同業者なので、読む側にとってこれほど有難いことはない。言葉の片々を日本語に置き換える作業をしていますという空気はなく、これを読んでくれ、知って欲しいの熱意が感じられる。訳すというよりも、内容を手渡そうとしている、この気持ちが伝わってくることにも感動した。
内容は、すでに知っていることも、いくつかはあったが、世界の浜辺を見渡すことができた。海底の地形も鮮明に分かる時代となったおかげで、浜の形成の歴史も見えてきた。人間は砂を必要として採り運び用いるが消費する一方だ。ダムを作ることで浜に砂はもたらされず砂は減る。ふん尿による汚染も凄まじい。オリンピックで暴露された東京湾だけの問題ではなさそうだ。護岸工事の問題では、日本の釜石湾湾港の防波堤の事例も挙げて詳しく述べられている。今現在の姿だけでなく、過去からの連続線上での考察が未来へと伸びてゆく。
本書に関心を持ったわけは、日本列島の「ヘリ」を回ろうとした時に浜辺の道だけを通ることができなかった、この驚きが忘れられなかったからだった。本書によると日本の浜辺は40%程度しか残っていないそうだ。そのことに私は驚かなかった、日本列島の縁の半分以上は内側の、海の見えない道しか走れなかったという実感がある。たまに、ようやく海岸に出るとホッとした。中でも凄まじいのが原発プラントだ。その占有面積は漁港などの比ではない。どうか、生きている浜について、一人でも多く正しい知識を持って欲しいと願わずにいられない。生きているんだから育てなくちゃ。可愛がらなかったらどうなるんだろう。死んでしまうじゃないか。海岸沿いの豪華ホテルなんか、やめてくれと言いたい。箱物のために護岸を作り浜を殺すとは許せない。と、ピルキー先生、クーパー先生の気持ちが移ってしまった。
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