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Mar 2013

感情から老化していく人、いつまでも感情が若い人

感情から老化していく人、いつまでも感情が若い人著者=和田秀樹 さくら舎2013年発行 ISBN978-4-906732-28-9 新書版 ¥952
著者=1960年大阪市生まれ 東京大学医学部卒 国際医療福祉大学教授 精神科医としてメディアに出ている。
内容=表紙に赤字で付け加えてある「そのしぐさ・言動が老化のサインです」とあるが、このとおりで、日常の仕草と言動を項目別にとりあげて、主に前頭葉の働きが鈍くなることが原因で老化が進むのだと解説している。
感想=この惹句で読んだ。さくら舎は、講談社でベストセラーを手がけた編集者が立ち上げた新しい出版社。本作りは、人となりが表れるから、どうか、ご自分の著作の出版を志す方は、出版社を注意深く選んで欲しいと切に願う。いかに内容がよくても下卑た服を着せられたら、それまでである。このブログでは、好印象の本だけを選んでいるが、今回は、すこし注文をつけようと思います。売らんかなの飾り言葉はさておき、内容についてです。
加齢の道を歩む人たちは、なんとか元気時間を増やそうとして参考に読みたくなるだろう。本書には、好奇心を持て、友達を作れ、などタメになることがたくさん書いてあるが、実は、これらのことは年齢を重ねた人たちは、たいてい熟知している事柄である。それでも、もっとあるに違いない、と思うから読もうとする。本書の目玉は前頭葉の萎縮である。これだけである。付け加えると、著者は何十万円のナントカブランドのスーツを年に何回も買う、男の料理は、女と違って1個500円のタマゴを使う、こういう精神こそが若さキープの素と言わんばかりの自慢話に付き合わなければならない本である。著者は、頭蓋骨をかち割って前頭葉をつつき回すのだろうか、ハンニバル レクター博士のように脳みそを賞味するのだろうか。ともあれ人の気持ちを知らない人だなあ、と放り出しました。

検察の罠

『検察の罠』副題ー小沢一郎抹殺計画の真相 著者=森ゆうこ 日本文芸社2012年5月発行 ISBN978-4-537-25941-4 ¥1500 
著者=1956年新潟県生まれ。新潟大学文学部、横越町町議を経て民主党参議院議員。元文部科学副大臣。1男2女の母。
内容=「西松建設事件」「陸山会事件」の真相を追求、検察と司法の闇を追う。巻末に小沢一郎との対談。
感想=卒論を目前に家業を助けて兄とともに働き、8年後に卒業した出発点から語られる。企画力、行動力、集人力などの能力が、結果から見えてくる。人というものが、置かれた境遇において、一所懸命の努力をするとき、その人が内蔵する資質が意図するしないにかかわらず発揮されるものだ、ということがわかる。森ゆうこの書き方は、率直で飾り気がなく、簡潔だ。正直一本で書いているから、こうした能力が本人も意識しないところで花開いてゆくのが見えるのである。本人が意識しているのは、親譲りの不屈の闘志で、これは議員になってから遺憾なく発揮される。素晴らしいのは、この過程で結婚、子育てを平行してやっているが、夫が立候補を勧め、背を押してくれている姿だ。表紙の写真に見える結婚指輪が眩しい。
たまたま、小沢一郎という政治家の上に起こされた捏造事件であるが、森氏が何度も繰り返しているように、この事件の本質は、一人の政治家の問題ではなく、日本の国のありよう、民主主義国家としてのありようを根本から問われている事件である。問われている、とはぬるい言い方であり、検察も司法も、政治全体が腐りきっているのだ、日本という国家が独立国家として自身の足で立っていない、三権分立も紙の上だけ、という現実を、国民が直視すべきだというのが本書の主張であろう、と私は読んだ。要は、国民の民度にかかっている。

原発のコスト

『原発のコスト』副題=エネルギー転換への視点 著者=大島堅一 岩波書店2011年発行 ISBN978-4-oo4313427 岩波新書 新赤版1342
著者=1967年福井県生まれ 一橋大学大学院経済学研究科博士課程単位取得 立命館大学で教えている。
内容=安いと言われてきた原発の発電コストについて、立地対策費、使用済燃料の処分費用などを含めた実際のコストはいくらか、を数字をあげて説明する。
感想=いままで、火力発電、水力発電、太陽光発電などと並べて、原子力発電がもっとも安い、と説明されてきた。その棒グラフを何度も、各所で見てきたが、どうして? と納得いかなかった。3.11以前の噂だったが、六ヶ所村では村民世帯当たりの年収が1500万円だ、と聞いたことがある。六ヶ所村が引き受ける処理施設の見返りであるという。風評だろう。しかし、風評と受け流すための風は吹かない。原発プラントを抱える地域を訪れてみれば、溢れんばかりの過剰施設、道路などの山盛りである。これらを眺めながら、いったいこれらの費用はどこから? という疑問が自然に湧いてくるのである。
本書の特徴は、こういう一般の素朴でまっとうな疑問に対して、なんら感情を込めた言葉を用いずに、確かな根拠を持つ客観的な数字をあげてゆく。それらの数字には、円がつき、ベクレルがつき、年月日がつき、%がつく。数字が語る過去の事実と現在。そして未来を数字で予測する。脱原発こそ合理的で経済的な方向であることが、コスト面から明白になる。説得力がある。

シニアシフトの衝撃

『シニアシフトの衝撃』副題=超高齢社会をビジネスチャンスに変える方法 著者=村田裕之(むらた ひろゆき)2012年ダイヤモンド社発行 ISBN978-4-4780-22603 ¥1600 128mmX187mm 208頁
著者=新潟県生まれ。生年は公表せず。日本総合研究所などを経て2002年村田アソシエイツ設立。日本のシニアビジネスの第一人者といわれる。
内容=これから加速して突入拡大するシニア向け市場を観察、分析し、この業界にいる、あるいは入る業者に対して、事業成功の勘所を語る。
感想=高齢者層の特徴を、「ストックリッチ、フロープア」と断定している。やたらに金を持っているが、消費をしぶる、という意味である。この人たちのお金を、どうやったら消費させるか、という観察と知恵の本。図書館でじっと座っていられては金が動かない。ティールームの椅子に集まって編み物をしながら喋っていられたのでは、収益は上がらない。いかにして金を出させるか、という知恵の本。アマゾンのレビューでは、タメになった、座右の本とする、など評判がよい。たしかに鋭い観察、なるほど、こうやったらよさそうだ、というアイデア満載だが、ターゲットにされている「高齢」の人が読んだら、どう感じるか。私が当事者として感じたところは、こうだ。たしかに、毎月の食費は、60代から70代に入ると減る。かわりに医療費が増える。観察の通りなのだけれど、観察する目線が、動物か昆虫観察をしているかのようなのだ。冷徹といえば聞こえが良いが、冷たい。こうやれば金を出すぞ、という、それだけのこと。そのあげく、いいじゃないですか、店が儲かって税金たくさん払って、国が豊になって、回り回って高齢者だって得するでしょうが。というロジックだ。ああ、嫌だ。嫌な世の中だ、と感じた。私は、この本を読んでしまったので、逆手にとり、その手は食わぬよ、というお楽しみ生活をするつもりになった。
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