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Jul 2014

君臨する原発

『君臨する原発』副題=どこまで犠牲を払うのか 編者=中日新聞社社会部 発行=東京新聞 2014年 262頁 19cm ¥1500 ISBN 9784808309855
内容=2013年に中日新聞・東京新聞・北陸中日新聞で連載した「犠牲の灯り」に加筆した単行本。取材班の取材による生身の人間が描かれる。
感想=取材した、感じた、書きたい。読んで貰い、自分が感じたと同じ感情を抱いて貰いたい。そういう記事を私たちは見てきている。が、本書は、取材者の私的欲望を排除して、あるがままを伝えようとしている。写真、地図が入る。
丸3年半経ったいま、読むフクシマの原発と、この巨大な波紋の四方八方にいる人たちの姿、そして何年も前になくなった若狭の作家、水上勉の言ったこと、井伏鱒二の言ったこと、広島・長崎の原爆が取り上げられている。そして仙台にいた詩人、俵万智さんが、シングルマザーとして育てている息子さんとともに沖縄に避難したあと住み着いていることも、詠んだ歌とともに伝えられている。作業員の現実、除染の現実。差別と偏見。人々の姿とともに、国道6号線が描かれる。国道4号線と6号線が、本州の北へ向かい走っていて、6号線が海寄りの道。この道は、どこで停まっても心地よい。ほんわかした人柄の土地の人たち。近海魚の宝庫。それが、いまはなんということだろう。いつも同じ事を繰り返すけれど、原発がなかったならば、この海岸線は青森に至るまでの全海岸、かならず復興できるのだ。以前、私は坂上田村麻呂が奈良の都からこの道を北上した、その足跡を辿り胆沢城跡を訪ねたことがあったが、ここまで津波が来た、という碑の文字に出会った。気をつけて見てゆくと、津波の碑が思いもかけない山腹にあるのだった。大都会と大企業が湯水のように消費するための電力を、どうして地方の海辺が担わなければならないのだろう。しなくても済む差別をし、なくても済む格差を生じさせ、なによりも健康を損ねている現実は、何年経とうが過去にはならないのだ。この現在から目を逸らせることなく、いまの政治の舵取りを見つめていきたい。
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