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Jan 2014

この星でいちばん美しい愛の物語

『この星でいちばん美しい愛の物語』(DSHAMILJA)著者=チンギス・アイトマートフ TCHINGIS AITMATOW 訳=浅見昇吾 発行=花風社 1999年 サイズ=20cm 158頁 ¥1600
ISBN4-907725-02-7
内容=小説。中央アジア、キルギスタンが舞台。語り手の少年時代の記憶が、彼の描いた一枚の絵を前に語られる。少年の兄ふたりは兵役に取られ、兄の新妻は結婚4ヶ月で夫を戦地に送った。少年は母を助けて麦を作る。兄の妻、ジャミーリアは美しく快活で生気に溢れていたが、夫からの家族に当てた手紙には、末尾に妻によろしく、とあるだけだった。少年は、ジャミーリアが大好きで、男たちが近づくと割って入り邪魔をした。が、その感情が初恋であったとは、彼女が去ってから気づくのだ。ある日、傷を負った戦士、村の男がひとり戻ってくる。ダニヤールだ。彼は戦いの話を避け、無口でひとり離れて村になじまない。過酷な麦の搬送を受け持ったジャミーリアと少年の介添えにダニヤールが選ばれる。3人で馬車を走らせる荒野の描写は息を呑む現実感に溢れ、それは貧しい生活、想像を超える広さも読者に思い知らせる。ジャミーリアの夫は負傷して病院に運ばれた。荒野の激走のあいだに、ある出来事から、ジャミーリアはダニヤールの愛を発見する。彼はジャミーリア故に故郷へ戻ったのだった。夫が帰る知らせがきたとき、ふたりは村を去る。少年は命がけの愛を育むふたりから自分を生きる力を学び絵描きを目指す道を目指すようになる。少年は草原の彼方へ去るジャミーリアとダニヤールを描いた。
著者=キルギス共和国で生まれ育った。ほとんどの作品をドイツ語で書いている。本書は彼の出世作で、世界各国で翻訳され、数十年にわたって増刷を続けている。
感想=原題はジャミーリア。日本語のタイトルは説明が過ぎた。こんなタイトルをつけた理由は、フランスの詩人・評論家、ルイ・アラゴンが本書をフランス語版で「断言しよう。ここにあるのはまぎれもなく、世界でいちばん美しい愛の物語である」と書いた故であろう。
少年が見上げる視線をもって、ふたりの若者、ジャミーリアとダニヤールを捉える、という世界。麦わらの匂い、土埃の舞う空、果てしない広原を背景に、命を賭けた愛が大きな花火のように広がる。無垢の少年が、愛も人生も、嘘もしきたりも、なにも知らないが故に混じりけのない愛を見つめる。愛が、美しさと悲しみを背負い、昇華してゆく姿がある。
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