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Feb 2014

共に生きるということ

『共に生きるということ』副題=be humane 著者=緒方貞子(おがた さだこ)発行=PHP発行所 2013年 125頁 20cm ¥1200 ISBN978456972140
著者=1927年東京生まれ 聖心女子大学文学部卒業後、ジョージタウン大学で国際関係論修士号を、カリフォルニア大学バークレー校で政治学博士号取得。国連公使。難民高等弁務官として難民支援活動に取り組んだ。国際協力機構理事長を経て同特別顧問。
内容=人道支援・復興支援の現場の経験から、平和を築く共存の哲学、国際社会での日本の役割などを語ったもの。NHKBSで、2011年1月放映の「100年インタビュー・国際協力機構(JICA)理事長・緒方貞子」をもとに構成、1時間放映分を書籍としたもの。各頁12行、文字も14Pと大きい。
感想=be humaneとは、「人間らしさに徹底せよ」だとカバー裏にある。インタビューの聞き手はNHKの三宅民雄アナウンサーで、彼の問いが、各セクションの冒頭にある。これに答える形で緒方貞子さんの考えが述べられる。歴史に学び、他者に学び、常に先のことを考える。という冒頭1頁をつかったメッセージが、基本姿勢であり、最終頁の百年後のみなさんへ、という「先」への思いは、本書から飛翔して未来へつながる。
感想=外交官の父に連れられて幼少より外国に接し、当時は希少であっただろう留学を二度にわたり経験した。豊かな国際性を身につけ、さらに成長を続けた聡明な女性が見える。視野が常に広く大きい。俯瞰する視野で地球全体の人々の暮らし、抽象的ではない、現地の実際の人のいとなみに直接接し、心を傾けてきていることが、この小さな本から大きく広がり見えてくる。三宅アナウンサーの問いは、ごく一般の人を代表する内容を選んでおり、緒方さんは、その問いをきっかけとして、明確な自分自身の考えを披露している。読者が受け取り、吟味するべき内容は、やさしい話し言葉で渡される。たとえば、「援助により、貧しくどうしようもない状況を何とかする、というのはチャリティなんですよね。チャリティだけでは国は伸びない」という。「国際貢献なんてね、そこに国際があって、私が何かあげますというのではなくて、自分が中に入っているんですよ、国際の中に。だから国際の中で暮らしているという現実から来る、責任分担じゃないんですか」。
根本の考え方が清々しい。自分を偉く見せようとするような上から目線は微塵もなく、しかし、地球全体を俯瞰し、吟味し、よい方向を指し示す大きな目を持っている。ある組織の長になることを目的として頑張り、なったら終着駅に着いたと大喜びをして私利私欲に埋没するような多くの「長」たちに読んで貰いたいと思った。

暮れなずむ女

著者=ドリス・レッシング DORIS LESSING 発行=水声社(三笠書房1975年版の新版)2007年 285頁 20cm ¥2500 ISBN9784891766672 
著者=1919〜2013(94歳)イギリスの作家 小説・詩・ノンフィクション 2007年ノーベル文学賞受賞 受賞理由=女性の経験を描く叙事詩人であり、懐疑と激情、予見力を持って、対立する文明を吟味した。
内容=小説 夫とのあいだに3人の息子と1人の娘がいる女性、ケイト・ブラウンが、ある夏、この家庭を離れて、ひとりで動き回り、家へ戻るまでを描いている。
感想=ノーベル賞受賞女性作家の作品を集中的に読もうとしている。ドリス・レッシングは、その第一番目に取り上げた作家。猫のエッセイに続いて『アフガニスタンの風』『夕映えの道』本作は、4作目になるが、小説は、『夕映えの道』に続く2作目である。
夏の休暇の季節が来た。夫は、仕事で家を空けるので、妻も伴い、空き家になる我が家を夏の間だけ貸家にしようと提案する。ケイトは、下の息子が家に残るから、自分も家にとどまり、息子やその友達や、その友達などのたまり場の世話をしたい、いわば家庭の基地に留まりたいと願うが、この有り様は、4人の子どもを育て上げてきた彼女の、主婦としての当然の生き方だった。しかもケイトは、夫に対して私は基地の世話役として夏を過ごしたい、とハッキリ表明することもできない、ぐずぐずしている。夫は家の借り主を見つけてしまう。すると末息子が突然、友達と遠いどこかで夏を過ごす、と宣言し、あっというまに出て行き、夫も出て行き、ケイトは独りになってしまう。部屋数も多い、生活に困らない、近所の同じような家々と仲良くし、同じような服を着て、同じような髪かたちをして暮らしてきたケイト。ケイトは、この家からも出なければならない夏となってしまう。
手に職はないが、たまたま多言語が使えるケイト、これは作者、レッシングに重なる部分だ、ケイトは通訳の仕事にありつく。はじめは小遣い程度の報酬だったが、おためし期間のあと、夫よりも高額の報酬を提示されて、自分自身の値段を見直す。が、ケイトはその価格に安住することはなく、若い、妙な男と”道行き”をする。青年期の娘息子のいる午後年齢ではあるが「男」は、ケイトにとって一大関心事なのだった。大期待を込めて連れだった男は、旅に出たとたん病気にかかり、別れるハメになる。感染していたケイトも発病、すったもんだである。その道中というか、夏の初めからずーっとだが、ケイトは新しい事柄に出会うと、手で触り、食べてみたり、臭いをかいだり、つまり身体で関わりながら、考えを進めてゆくのだ。最後にケイト・ブラウンが到達した境地というか結論は、いままでの”奥様風”ヘアスタイルをやめて、自分がこうしたい、と思う髪型に変えることだった。ケイトはヘアスタイルを変えた。そして家へ帰るのだった。
これだけ、あれこれやって最後はヘアスタイル・チェンジかよ、と呆れるが奥は深く、笑えない。いまの日本の女性たちにも、よく理解できる女性像だと思う。一見、バカバカしいが、なかなかコレはできないことだ、ここまで深く考えられない、考えることをしないで日々を流している、と分かる主人公ケイトの行動と考察である。ケイトの新しい髪型は、なんと”ひっつめ髪”である。これこそ、私の今のヘアスタイルである。どういうヘアスタイルかというと、全部ひとまとめにして、輪ゴムで後頭部で縛る形。そのまま垂らしておけばポニーテールだし、ぐるぐる巻きにしてまとめると、まあ、フィギュアスケーターがよくやっている形となる。これに大きな花飾りをつければ、ミャンマーのアウンサンスーチーさんだ。
先日、バスに乗ったら、後ろの席から河合さん、河合さんという。前にお世話になっていた美容師さんだった。なにやってんのよ、そのアタマ。という。ヘアカットして見場よくしなさいよ、という。うん、にゃ。と私は返事とも何ともつかない返事をした。千円札何枚。それだけあったら「夢類」に投入するわ、と内心は返事をしている。ドリス、バンザイ
『暮れなずむ女』(THE SUMMER BEFORE THE DARK)

独立の思考

『独立の思考』著者=カレル・ヴァン・ウォルフレン 孫崎 享 発行=角川学芸出版2013年 サイズ=19cm 216頁ISBN 978404653280¥1400
著者=カレル・ヴァン・ウォルフレンKarel van Wolfren 1941年オランダ生まれ ジャーナリスト・アムステルダム大学名誉教授。82年より日本外国特派員協会会長をつとめ、「インターナショナル・ヘラルド・トリビューン」などに寄稿。著書多数。
 孫崎 享 1943年旧満州生まれ 東京大学法学部中退後、外務省に入省。英米ほか各国駐在の後、国際情報局長、駐イラン大使、防衛大学教授。定年退官。著書多数。
内容=本を作ることを目的としてテーマを立てて交わされた対談。「幻想の日米同盟・尖閣と沖縄をめぐるアメリカの思惑・誰が政治改革を殺すのか?・官僚とメディアの支配する国・米国を警戒するヨーロッパ・日本は「独立」できるのか」の6つのテーマが並ぶ。両者は、時に同意し、時に異なる見解のままに終わる。世界各国を見渡し、歴史を踏まえて日本という国の未来を考える。奇妙、かつ異常な状態が続いてきた日米関係と、いったい日本はほんとうの独立国家となり得るのか、を問題としている。
感想=お互いにとっての外国語、英語で交わされた対談。「おわりに」でウォルフレンが書いている「相手の話に耳を傾け、互いの意見を楽しみ合う対談とは、とても文明的な時間の過ごし方だと思う。議論を戦わせ、まるで得点を競うスポーツのごときディベートとは違う」という考えは、私が常に願っている有りようで、この対談は、実際、そのような快いものだった。私は、ときに一方の意見に同意しながら、新しい見方を知り、先見の能力発達の手がかりも学んだ。また、自分の身体と五感を駆使して、現地と接することが根本だということが身にしみた。日本については、というと、暗澹とした暗い思いだ。
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