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Dec 2011

福島の原発事故をめぐって

『福島の原発事故をめぐって』副題=いくつか学び考えたこと 山本義隆(やまもと よしたか)著 みすず書房 2011年8月発行 ISBN 978-4-622-07644-5 ¥1000 187mmX128mm 104頁
著者は1941年大阪生まれ。東京大学理学部物理学科卒業、同大学院博士課程中退。現在駿台予備校勤務。著書多数。
内容は、たった100ページ、天地の空き、行間もゆとりを取り、読み易く、文字数は少ない。しかし、どのページも読み流せる内容ではない。
目次を紹介しよう。1、日本における原発開発の深層底流(原子力平和利用の虚妄 学者サイドの反応 その後のこと)2、技術と労働の面から見て(原子力発電の未熟について 原子力発電の隘路 原発稼働の実態 原発の事故について 基本的な問題)3、科学技術幻想とその破綻(16世紀文化革命 科学技術の出現 科学技術幻想の肥大化とその行く末 国家主導科学の誕生 原発ファシズム)
3.11 直後のショックと興奮状態が沈殿してきているいま、日本に原発の種が蒔かれた発端から見つめ直し、感情を入れないで実態を直視し、さらに行く先を見ようとする視力を感じ取った。東京大学工学部に原子力工学科が誕生したいきさつと、内部の様相。ウラン鉱石採掘の時点から、使用済み核燃料の最終処理までの全課程で放射性物質の放出は防ぎ得ないこと。USAニューメキシコ洲、ユタ州では、放置された鉱滓によって先住民が犠牲となっていたこと。日本では、1955年に鳥取県と岡山県の県境にある人形峠でウランが発見されたが、低品質だったために廃坑になった。しかし大量の土砂が放射能を出し続けたために訴訟となり、日本原子力開発機構(動燃)は、とくに放射線量の高い残土290立方メートルを、ユタ州の先住民居住区に搬出したと。日本人が、ガンに苦しむ先住民の居留地に!!!
私は、息を詰めてサスペンスを読む、フィクションと知りながらドキドキして読む。しかし、この100ページは事実である。私は、悶絶しながら読み進んだ。
終盤に、こう書いてある。「強力な中央官庁と巨大な地域独占企業の二人三脚による(中略)原子力開発への突進は、ほとんど暴走状態。税金を用いた多額の交付金によって地方議会を切り崩し、地方自治体を財政的に原発に反対できない状態に追いやり、優遇されている電力会社は、潤沢な宣伝費用でマスコミを抱き込み、頻繁に生じている事故や不具合を隠蔽し、安全宣伝を繰り返し、寄付講座という形でのボス教授の支配の続く大学研究室をまるごと買収し、地元、マスコミ、学会から批判者を排除して翼賛体勢を作り上げて行ったやり方は、原発ファシズムともいうべき様相を呈している」。
この100ページは、いかなるホラーよりも、サスペンスよりも恐ろしい。実際、先に取り上げた『知事抹殺』の著者、佐藤栄佐久氏のような、とことん抵抗する気骨の人物は、でっち上げの逮捕、有罪にしたのである。これが21世紀の、いまは平和だから、といって安楽に暮らしている場所で起きている現実なのだ。ここに紹介した、わずかの文章は、原文のままではない、要約であるから、ぜひぜひ、読んでいただきたい。時間軸と平面と、広い視野に立って、わずかな、静かな言葉で「考えたこと」を記している。
不思議と言うべきか、当然というのが妥当なのか、飽食に明け暮れ、ブランド品に目を奪われる一方で人々は、最近はテレビをバカにし、新聞を読まず、マスコミをマスゴミと罵る流れにある。これが社会の腐敗を意味していることを知らなければならない。買収され切っているマスコミは、一言もないだろう。傷ついた肉体は回復できる。しかし腐敗した肉体は、切り捨てるか死ぬしかないのだ。

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