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自然

羽化

夏至を過ぎると日差しが変わる。秋の虫が鳴き始める前にセミの季節が来る。早朝の富士の散歩に出たら茂みの奥から一声、キリギリスが鳴いた。
今夏は暑い。去年より暑さが厳しように感じられ、しかも一本調子に暑い日が続いている。これには良いこともあり、今年のメダカはよく育っている。
春一番、5月生まれの赤ちゃんたちがもう、一人前の大人になって、いつ産卵してもおかしくないほどの体型に育った。
ようやく念願のビオトープが安定、底の砂と水草も落ち着いて、藻の間には今朝生まれたかのような赤ちゃんメダカが固まっている。この稚魚たちは、この春生まれの若メダカの子かもしれない。
大人メダカは、卵であれ稚魚であれ、自分たちの子孫と知ってか知らずか食べてしまう。だから繁殖させるには幾つもの水槽に分けて飼育しなければならないのだけれど、ビオトープは自然体が目的なので成り行きに任せている。
成り行きとはいえ、水の管理と餌やりはするので、放置しているわけではない。膝をついて水面に顔を寄せてみていると、稚魚は藻の間に集まって、広い場所へ出ていかないことがわかった。また、元気者たちは障害物のない広場を群れを作って泳ぎまわり楽しそうだ。
ここにはすでにトンボが飛来して盛んに産卵している。やがて水面に産んだ卵が孵化してヤゴになり冬越しをするはずだ。メダカを飼育する人たちは、ヤゴをメダカの天敵と言って目の敵にする。獰猛な肉食系のヤゴは水底を這って暮らすのだが、素早い。メダカがどれほど被害にあうか、大変な数になると思う。それでも、これがビオトープという小さな自然の姿なのだから、ヤゴも、そのまま生活している。
毎年、何匹かのヤゴが、夜明け前に水を出て草の茎や、ブロックなど、選んだ場所で羽化する。日が出る頃には輝くトンボとなり、小さな壺の水から大きな空へ飛び立ってゆく。

だらだらと話が長くなったが、羽化でききれずに死んだヤゴを見つけた。なぜ。20年、30年やってきているが初めて見た異変だ。ゴールを見つめながら走ってきて転倒したような。トンボの羽化は今ではない、6月初旬の出来事だったが、だれかに伝えることも、する気になれないで陰鬱に抱えていた。
アブラゼミの声は、まだ耳にしないが、これからがセミの季節。お向かいさんの家のガレージに転がっていたセミの抜け殻に富士がじゃれついて遊んだ。ところが庭に、羽化できずに死んでいるセミを見つけた。突然、去年の夏を思い出した、去年も羽化できなかったセミを見ていたことを。去年が最初だった、それ以前は、こんな不発羽化は見たこともなかった。それが、今夏また起きている。何か原因があるに違いないと思うのです。
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